003 2017/9/15

心の整え方、マインドフルネスについて

リハビリテーション学部 作業療法学科
藤田さより 先生

 こんにちは。作業療法学科の藤田さよりです。 私の専門は精神科の作業療法になります。そこで今回は、マインドフルネスという心の整え方についてお伝えします。

 現在の日本は「ストレス社会」といわれるようになって久しいですね。日本における自殺者数は、ここ数年減り続けているとはいえ、未だ年間2万人を超え、その数は年間の交通事故死亡者数(約4000人)よりはるかに多く、主要国の中ではロシアに続き、2番目の多さであり、全世界においても6番目という多さです。(厚労省,2017)。それらの自殺の背景には様々なストレスによるうつ病等の精神疾患の影響が少なくないと考えられています。

 日本において自殺やメンタル疾患の予防は急務な課題であるとして、取り組み始めています。

 そんなストレス社会にあって注目されている治療法のひとつに「マインドフルネス認知療法」というものがあります。マインドフルネスは、そもそも仏教における基本的な瞑想法の一つです。それを精神疾患の患者に対する治療法としてアメリカで開発され、その効果は全世界的に広がり、うつ病、パニック障害、パーソナリティ障害などの精神疾患に加え、慢性疼痛や発達障害等にも効果が見られたことが報告されています。

 また精神疾患だけでなく、私たちの日常のストレスを回避する手段としてや、仕事等でのパフォーマンスを向上させる方法としてもその効果が示され、著名人やスポーツ選手、有名一流企業の研修としも取り入れられています。

 簡単に方法を述べると、私たちは、普段、頭の中でいろいろなことを考えています。つまり脳は常に稼動状態で休息できていないことになります。何もしていない時でも、様々なマイナス思考な考えや雑念が頭を浮かびます。一日に短時間でも脳を休息させることが、精神疾患の予防やストレス軽減に大切なことなのです。

 方法は実に簡単!椅子に姿勢よく座り、ただ呼吸だけに意識を集中させるのです。空気が体の中を通っていくこと、空気が腹部に入り、腹部が膨らむこと、鼻から出て行く空気の温度・・・などすべてを呼吸に集中し、雑念が浮かんだら、それを雑念として認め、思考の中から捨てる・・・という感じです。はじめはなかなか難しいですが、慣れてくると簡単です。またその効果を感じられるようになります。

 現在、テレビの放送や多くの書籍、文献も報告されています。精神科の作業療法での実践も報告されています。興味のある方は、ぜひ実践し、日々のストレスを軽減し、患者様へのよい実践につなげてみてください。

※写真は本文とは関係ありませんが癒しに繋がればと思い掲載しました。渥美半島の白浜(上部)と大学から見えた虹の架け橋(下部)です。

引用 参考:
厚労省(2017)自殺対策白書,
久賀谷亮(2016)世界のエリートがやっている最高の休息法