004 2018/1/4

簡易粘度計の紹介

リハビリテーション学部 言語聴覚学科
柴本勇 先生

 2013年に日本摂食嚥下リハビリテーション学会から、とろみ調整の基準が示されました(下表)。 基準は3段階で、各施設ではこの基準をもとに使用者の段階を決めて対応をしています。


【とろみ調整基準】(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)

 3段階の基準は、飲んだ時や見た目の基準と共に客観的に計測できる方法も示されています。 この基準で用いられた計測は、E型粘度計です。より生体の嚥下に近いということで採用されました。 ただし、機器が高価で計測に時間を要すことから、Line Spread Test(LST)も採用され、臨床ではLST値を基準とする施設もあります。


【Line Spread Test(LST)】

 ただし、LSTも忙しい臨床現場では計測に時間がかかり、全員に対して実施することは難しいとの声が聞かれていました。 そこで今回、臨床で簡易的に計測できる「簡易粘度計」を紹介します。東京の多摩精機社が開発製造しているのが下写真です。 わずかな試料を専用トレイに載せて数十秒の計測時間で、とろみの段階を示してくれます。同時に、粘度(mPa・s)も表示されますので、具体的な数値を知ることもできます。

【簡易粘度計】(多摩精機社製造)

 まだ販売はされていませんが、販売された際には本製品を使うことで医師が指示したとろみ付きの水分か否かを短時間で確実にチェックできるようになると思います。 施設の質だけではなく、とろみ調整食品を使われる方々の、安全性にも一役買うと思います。