010 2019/07/01

がんの理学療法

リハビリテーション学部 理学療法学科
高橋 大生先生

 みなさんこんにちは、理学療法学科の高橋大生(だいき)と申します。2019年4月から聖隷クリストファー大学の教員として赴任いたしました。私は理学療法学科の5期生であり、大学院を合わせると9年間連続で聖隷クリストファー大学に通ったことになります。
 私の研究分野は「がんの理学療法」です。がん細胞は身体のあらゆる箇所に発生し、臓器のみならず血液や骨にまで影響を及ぼします。さらに、がんと闘うためには外科的な手術をはじめ、副作用の強い治療を長期間行わなければなりません。
 下記の図は急性期病院入院治療中の頭頸部がん患者60名の治療前後における全身筋肉量と膝伸展筋力(体重比)の推移を示したものになります(p<0.05)。全例がリハビリテーションを実施していましたが、驚くほど筋機能が低下していました。もちろん、リハビリテーションを行っていたから筋機能の低下がこれだけで済んだ、という解釈もできます。しかし、この現状を見過ごすわけにはいかないと考えるのがリハビリテーション職種の性ではないでしょうか。

 当然このデータは一つの例に過ぎません。まだまだ、がん理学療法分野には様々な課題があります。それでも、少しずつですがエビデンスが構築されつつあるのもまた事実です。「がん」とひとくくりに出来れば楽なのですが、多くの顔を持つ「がん」です。一つ一つ地道に整備していかなければなりません。ご興味のある方は是非 までご連絡下さい。共により良いがんのリハビリテーションを目指していきましょう。他職種の方も大歓迎です。