015 2020/03/12

精神科で増える「大人の発達障害」

リハビリテーション学部 作業療法学科
飯田妙子先生

 皆さん、こんにちは。2019年4月に本学作業療法学科に赴任した、飯田妙子と申します。 赴任と同時に、この聖隷クリストファー・リハビリテーション学会の理事も務めさせていただいています。 2年前に大学院博士前期課程を修了し、教員として大学に戻ってくることとなりました。 専門は精神障害領域ですが、児童精神科を有する病院・クリニックに勤務していた経験もあるため、発達障害領域も担当しています。

「精神障害」と聞くと、「統合失調症」や「うつ病」を思い浮かべる方が多いと思いますが、最近は「大人の発達障害」というフレーズもよく耳にするようになりました。
「発達障害」は元来、子どもの頃に分かるもの…と思われてきましたが、最近は大学生・社会人になってから発達障害が判明するケースも増えてきています。例えば、大学や会社で起こり得る急な予定の変更についていけなかったり、対人交流が上手くいかず周囲とのトラブルが増えてしまったり。そういった問題を契機にうつ病や適応障害などを発症し、精神科を受診、その後発達障害であることが判明する、といったようなケースです。
約10年前、勤務していた病院でそのような患者さんを担当する機会があり、それから「大人の発達障害」に関心を持つようになりました。当時は今ほど「大人の発達障害」に関する理解が院内でも作業療法の分野でも進んでいなかったので、「どうすれば理解してもらえるのか?OTはどう対応していけばいいのか?」と考え始めたことが、私が研究の道に進むことになったきっかけです。
臨床では、「大人の発達障害」は分かりにくいし、対応が難しいとよく言われますが、私たち作業療法士は効果的な支援を提供できるスキルを持っていると考えています。OTならではの視点・技術を生かした「大人の発達障害」の評価指標や介入方法を明らかにできるよう、研究を進めていく予定です。

精神科領域のみならず、様々な現場で「大人の発達障害かも?」と思い、支援に悩まれている方や「発達障害」に関心のある方は、ぜひお声掛けください。